2007年ダービーの当日

思い出のシーンはいつもホロ苦く、やがて漆黒の闇の中
へとゆっくりフェードアウトしていく。ウオッカに思いっきし
ノメりこんだぼくは自慰的ハイテンション幸福感を抱き
ながらも、ものの見事に打ち砕かれちゃいました。
「取ったって、何をですか」
「いや、おはずかしい」
「ウオッカの単勝ですか？」
「いや、ですからね、そんなんじゃないんですよ」
「じゃあ、アサクサキングスの複勝ですか？」
「違います」
「・・・そうすると」
「いやあ、実はカカアの3連単の馬券呑んじゃったんですよ」
聞いていた知り合いは、
「それってヤバくねえ？215万だぜ」
「・・・・・」
そこへ1本の電話がなった
カカアからであった。
「当たっているでしょ」
「実はモツの煮込み食べちゃって」
「えっ、マジ、うそでしょ、もうあんたのこと一生信用しないわ」
人生は後戻りすることはできない。だからモツ煮込みを食べなければ
という「タラレバ」は勝負事ではご法度のようです。
もし、あの日馬券を呑んでいなければボクの人生は間違いなく大きく
変わっていたハズ。
「あの日」とは2007年5月27日・東京競馬場では第74回日本ダービー
がおこなわれた。